最近の動向
民主党は27日、法務部門会議を開き、時津風部屋の力士暴行死事件で解剖を行 い、事件性を指摘した新潟大学大学院の出羽厚二元准教授らを招いて聞き取りを行っ た。 出羽氏は「犯罪性のある死体だけを解剖する現在のシステムには限界がある。変死 体すべてを解剖しないと、犯罪の見逃しがおきてしまう」などと早期の制度確立の必 要性を訴えた。 警察庁などによると、昨年の国内変死体解剖率は9・7%で、米国の解剖率(5 0%)などと比べ、低い数字にとどまっている。 また、解剖医の数が200人足らずと少なく、変死体の約9割は外表検査のみで死 因診断されている。このため、犯罪の見落としが懸念されていた。 民主党は平成19年6月、変死体の死因究明責任を警察庁に新設する「死因究明 局」に一本化することなどを柱とした「非自然死体の死因の究明の適正な実施に関す る法案」と、解剖や専門医の育成を担い内閣府が各地に置く「法医科学研究所」の設 置法案を衆院に提出。現在も審議が継続されている。 一方、自民、公明両党も今月、新たな死因究明制度確立を目指す国会議員連盟を発 足させている。
© 柳原 三佳