最近の動向

 全国の警察が2005年に扱った変死体のうち、解剖されたのは全体の9%で、13万4905遺体は外見と触診だけの検視で死因が判断されていたことが、関係省庁の内部資料などで分かった。

 わが国の解剖率は先進国中、最低レベルで殺人事件や多発死亡事故の見逃しにつながっている。日本法医学会は、17日から秋田市で開かれる学会総会での議論などを踏まえ、死因究明制度見直しについて国への要望活動を本格化させる。

 警察庁と厚生労働省のまとめによると、05年の交通事故関係を除く変死体数は14万8475体で全死者の14%にあたる。変死体は、警察官らが検視し、犯罪性があると判断されれば、刑事訴訟法に基づいて司法解剖される。ほかの死因不明遺体は、知事の判断による行政解剖や、遺族の了承を得ての承諾解剖が行える。05年の
司法解剖は4942体、行政・承諾解剖は8628体で総解剖数は1万3570体だった。

© 柳原 三佳