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車を「凶器」にするドライバーたち。「交通殺人事件」の実態とその事情 #専門家のまとめ

2025.2.19(水)

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車を「凶器」にするドライバーたち。「交通殺人事件」の実態とその事情 #専門家のまとめ

 2月15日、名古屋市内で痛ましいひき逃げ事件が発生した。車に衝突された58歳の女性が加害車の下部に巻き込まれたにもかかわらず、車は停止せずにそのまま100メートル以上引きずり蛇行しながら逃走。コンビニの駐車場に置き去りにされた女性は間もなく死亡が確認された。

 驚いたのは逮捕された25歳の男が飲酒していただけでなく、被害女性を故意にはねた疑いがあるということだ。車の絡んだ交通事件の中には「事故」ではなく「故意」に人の命を狙う殺人事件も発生している。車を凶器として犯行に及んだ過去の事件をまとめた。

ココがポイント

名古屋市緑区で女性がひき逃げされ、死亡した事件で、逮捕された男が、故意に、女性をはねた疑いがあることがわかりました。

出典:中京テレビNEWS 2025/2/18(火)

24歳の息子が殺人未遂の疑いで逮捕されました。調べに対し、「父親を殺すつもりでひいた」と容疑を認めているということです。

出典:NHK 2024/9/15(日)

秋葉原の歩行者天国にトラックで突っ込み、通行人らをはねた後に次々とナイフで刺し、男女7人を殺害、10人に重軽傷を負わせた

出典:毎日新聞 2022/5/19(木)

「(中略)刑務所に戻った方がましと思った」「(中略)車なら簡単に殺せると思った」などと故意にはねたという趣旨の供述をした

出典:朝日新聞 2020/6/30(火)

エキスパートの補足・見解

 日常の足として、流通の要として、今や私たちの生活に欠かせない便利な車。一方、車は便利な反面、ひとつ間違えば被害者を生みかねないため、警鐘の意味も込めて「走る凶器」と呼ばれることもあります。ハンドルを握る際には、当然ながらルールを守ることとともに、慎重な運転が呼びかけられています。

 しかし、現実に目を向けると、車というものをあえて「凶器」として使用し、人の命を奪う事件が過去に複数発生しています。そこで起こったことは、「交通事故」に見えるのですが、実は「過失」ではなく「故意」、殺意を持った殺人事件です。

 海外ではクリスマスの時期やカーニバルなど人が多く集まる場所に車が突っ込む事件がたびたび発生し、多くの死傷者を生んできました。日本でも同様の事件を検索すると、数多くの事件が発生していることがわかります。個人的なトラブルが原因となっているケース、また、自身の人生に疲れ、自暴自棄になって第三者を巻き込むケースも散見されます。

 改めて、免許を取る前の徹底した教育、また、不可解な「交通事件」が発生した場合、故意の可能性がないかどうかを視野に入れた捜査の重要性を痛感します。