ジャーナリスト・ノンフィクション作家 柳原三佳オフィシャルサイトHP

ジャーナリスト・ノンフィクション作家 柳原三佳オフィシャルHP

「わが子の命、無駄にはしない」【危険運転致死傷罪】法改正議論の源流となった無数の遺族たちの闘い #専門家のまとめ

2025.2.11(火)

Yahooニュースはこちら

わが子の命、無駄にはしない」【危険運転致死傷罪】法改正議論の源流となった無数の遺族たちの闘い #専門家のまとめ

2月10日、鈴木法務大臣は「危険運転致死傷罪」の見直しに向けた法改正の検討を法制審議会に諮問した。「危険運転致死傷罪」は、飲酒運転や超高速走行による事故、赤信号無視など、法をあからさまに無視した危険な運転による事故を厳罰化するため、2001年に制定された。それまでは、どんな悪質な運転による事故であっても、すべて「過失」として処理されており、それに納得できなかった無数の被害者遺族たちが苦しんできた。同法新設のきっかけをつくった遺族の体験を中心に、その活動の軌跡を振り返る。

ココがポイント

危険運転致死傷罪をめぐり、鈴木法務大臣は、適用要件の見直しに向けた法改正の検討を法制審議会に諮問しました。

出典:NHK 2025/2/10(月)

奏子や周子のこれから70年80年って生きられたであろう命の重さに比べて懲役4年というのはあまりに軽いんじゃないか

出典:ABEMA TIMES 2024/12/30(月)

厳罰化を訴えて実現させることも大切です。しかし同様に、今生きている人たちに対してモラル意識を訴えていくことも大切

出典:集英社オンライン 2025/1/22(水)

30年前は(中略)酒を飲み、泥酔運転で死亡事故を起こし、そして他者に責任を擦り付けて逃げても、これが妥当な判決だった

出典:柳原三佳 2020/9/23(水)

エキスパートの補足・見解

 2001年に「危険運転致死傷罪」が制定されてから24年、ほぼ四半世紀のときが流れました。上記、NHKの報道にもある通り、鈴木法務大臣は法制審議会の総会で「危険かつ悪質な運転行為による死傷事犯に適切に対処できていないのではないかとの観点から、さまざまな指摘がある。検討会のとりまとめを踏まえ、審議をお願いしたい」と述べました。法務省は近いうちに国会への提出を目指し、法律改正案の策定を進めるとのことです。

「危険運転致死傷罪」は、飲酒運転など悪質な運転によって大切な家族の命を奪われた全国各地の被害者遺族の方々が、加害者に対するあまりに軽い刑罰に納得できず、厳罰化の必要性を懸命に訴えたことがきっかけとなって新設されました。その源流となった「わが子の命を無駄にしたくない」という強い信念と怒りは、次なる被害を抑止するための活動につながり、新しい法律を作るという大きな目的をかたちにしたのです。

 今回おこなわれた法制審議会への諮問にあたり、「危険運転致死傷罪」自体が存在しなかった当時を改めて振り返りながら、これまでの、そして、現在も続く被害者遺族たちの長い闘いに思いをはせていただければと思います。