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道路の陥没やトンネル崩落による交通被害、過去の判例は? #専門家のまとめ

2025.2.6(木)

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道路の陥没やトンネル崩落による交通被害、過去の判例は? #専門家のまとめ

 1月28日、埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没事故。懸命の救出活動が続けられているが、穴に転落したトラック運転手の安否は2月6日現在もわからないという痛ましい状況が続いている。

 道路の陥没やトンネル崩落などによる死傷事故は、過去にもたびたび発生しているが、車のドライバーや歩行者、自転車にとっては避けることのできないこうした突発的で悲惨な事故は、いったい誰に責任が問われ、損害賠償問題はどのように処理されてきたのだろうか。実際の事例と判例をとりあげながら振り返る。

ココがポイント

自転車で走行中に道路の穴で転倒して負傷(中略)裁判長は管理に瑕疵があったと認定し、県に約201万円の支払いを命じた。

出典:上毛新聞社 2025/1/23(木)

笹子トンネルの天井板崩落事故でトンネルを管理する中日本高速道路と点検業務を担当した子会社に4億4千万円余りの賠償を命じた

出典:日本経済新聞社 2016/1/5(火)

道路が通常有すべき安全性を欠いていたために他人に損害を及ぼすと管理瑕疵が問われます。

出典:道路WEB

道路陥没などの事故は、(中略)例えば道路管理者などが相手です。損害賠償請求を行うことで補償されるのだと考えます

出典:乗りものニュース 2025/2/5(水)

エキスパートの補足・見解

 車同士、また車が歩行者に衝突するという、いわゆる「交通事故」では、加害者が被害者に損害賠償を行う義務があります。人身事故の場合は自賠責保険や任意保険が支払いの対象になります。

 一方、道路やトンネル等の瑕疵(かし=本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていない状態)によって起こった事故では、通常、自賠責保険は支払いの対象外で、その道路や施設を管理している国や公共団体が「国家賠償法」という法律に基づいて被害者への賠償義務を負うことになります。

 たとえば今回のように、道路に空いた大きな穴にトラックが転落するという、道路管理の不行き届きが原因で事故が起こったと思われる場合、被害者は、管理者である国や公共団体に対して賠償請求を行うことになります(*ただし、地震や津波、洪水など、自然災害が原因で発生した損害に関しては、国家賠償法の対象にはなりません)。

 上記で取り上げたように、事案はひとつひとつ異なり、ときには被害者側の過失が問われる場合もあるようですが、万一、道路の瑕疵が原因で事故に巻き込まれた場合は、過去の判例も参考にしながら、まずは道路管理者と話し合いを持つことが大切です。