子どもの事故、5~6月が多く 今春も頻発、親から伝えてほしいこと
2024.5.23(木)
全国で子どもが巻き込まれる交通事故が相次いでいる。5、6月は一年の中でも小学生以下の死傷事故が起きやすいとされる。この時期は特に、歩行者、ドライバーとも注意が必要だ。
今月16日午前8時20分ごろ、札幌市豊平区の市道交差点。登校していた小学4年の男子児童がワゴン車にはねられ、搬送先の病院で死亡が確認された。
13日には浜松市浜名区で、小学4年の女子児童がごみ収集車にはねられて死亡した。2月20日には、静岡県焼津市で下校中とみられる小学生4人のうち3人が軽乗用車にはねられ、病院に運ばれる事故もあった。
いずれの事故も横断歩道上だったとみられる。
事故が多い時間帯は
歩道で事故に巻き込まれたケースもあった。愛知県飛島村で4月9日夜、犬の散歩をしていた小学3年の女子児童が、コンビニエンスストアの駐車場に入ろうとした大型トラックにはねられ死亡した。
このほか5月20日には、名古屋市中村区の市道で、小学生の男子児童(10)が車にはねられて意識不明の重体となる事故もあった。
警視庁のまとめによると、2019~23年の5年間に発生した交通事故で、死亡したり重傷を負ったりした小学生以下の子どもは計4430人。月別に見ると6月が最多の440人で、5月の420人が2番目に多かった。
歩行中の死亡・重傷事故を時間帯でみると、午後3時台が最多で、同4時台、同5時台と続いた。小学生の下校時間などと重なり、夕方前後は子どもにとって最も危ない時間帯となっている。
識者「青信号でも注意を」
なぜ5、6月に子どもの事故が集中するのか。
交通事故の取材を長年続けるジャーナリストの柳原三佳さんは「小学生にとっては新学年が始まって少しずつ気持ちが大きくなってくるころ。新しい友人もできて行動範囲が広がり、慣れない場所に行き来するなかで事故に遭いやすくなっているのでは」と分析する。
その上で、「事故のほとんどはドライバー側の責任で起きている。特に横断歩道という。歩行者にとってはセーフティーゾーンで事故が起きていることは看過できない」と柳原さん。「ドライバーは登下校の時間は気を付けるだけでなく、そういった時間帯はスクールゾーンを避けるくらいの慎重さがあってもよい」と言う。
柳原さんは「不本意だけれども」としつつ、保護者に対しても注意を呼びかける。「青信号であっても右左折の車には気を付けることや、信号待ちの時には電柱などの後ろに立って緩衝材とし、不意の事故から身を守るよう、子どもに伝えてほしい」(山田暢史、板倉大地、中野浩至)