JAFメイト連載vol4
交通事故をなくしたい。失われたかけがいのない命を胸に、歩き続ける人々の物語。
『亡き娘に誓う、交通死傷ゼロの社会を』---北海道／前田敏章さん
歩道に降り積もった雪が、昼下がりの太陽に照らされてキラキラと光りを放っています。街路樹のすぐ脇に建つ観音像を見つめながら、前田さんは静かな口調で語ります。
「ここで雪かきをしていたら、通りかかった見知らぬ方が『千尋さんのお父さんですか？いつも拝ませていただいてますよ』と声をかけてくださいました。有難いですね。今日は娘の月命日なんです。
「10月25日、友だちと駅で別れた千尋さんは、赤い傘を差し、日の暮れた道を自宅に向かっていました。その途中、後ろからきたワゴン車に追突されたのです。駅まで送ったときの『行ってきます』というあの声が、今も耳に残っています」
- JAFメイト 2017.4・4号 -
