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【富山・はしご酒逆走死亡事故】最愛の母奪われた兄妹の訴えに全国から賛同の声 週末は富山で街頭署名も

2024.12.27(金)

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【富山・はしご酒逆走死亡事故】最愛の母奪われた兄妹の訴えに全国から賛同の声 週末は富山で街頭署名も

■2週間で4万筆の署名と賛同の声集まる

 2024年3月21日、富山市内の横断歩道を青信号で横断していた井野真寿美さん(当時62)が、飲酒運転の車にはねられて死亡した事故。12月9日、本件で母を亡くした兄妹が危険運転致死罪での起訴を求める署名活動を開始したことから、多くのメディアが相次いで本件を取り上げ、集まった署名はすでに約4万筆に上っています。

 また、署名サイトには、飲酒運転は厳罰に処すべきだきという以下のようなコメントが多数寄せられています。

「飲酒運転は過失ではありません。明らかな故意であり、危険運転です。それで人が亡くなれば当然、危険運転致死罪が適用されるべきと考えます」

「友人の息子さんも、友人の旦那様も轢かれて亡くなりました。 罰が甘過ぎます」

「車が命を奪う凶器となりうることを、運転する人は自覚して、安全に運転できないときは乗らない、という当たり前の行動をしてほしい。人の命を奪ったら、相応の罪の償い方があるはずです」

 私もこの事故でお亡くなりになった井野真寿美さんの長男・中田康介さん(36)、長女・広瀬すみれさん(32)にお話を伺い、12月12日、以下の記事で取り上げました。

車の下から振り絞った母の最後の言葉… 遺族が訴える「はしご酒で逆走の飲酒死亡事故は『過失』ですか?」(柳原三佳) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 現場の富山から遠く離れた東京とマレーシアで事故の第一報受けた兄妹が、それぞれどのような思いで病院へ駆けつけ、変わり果てたお母様と対面されたか……。

 そして、火葬場に現れた山﨑満大容疑者(42)本人から、事故の直前まで酒を飲んでいたことや、酒に酔っていたことを認識しながら運転代行を呼ばずにハンドルを握っていたことを直接聞いたときのショックは、どれほどのものだったでしょうか。

 兄の康介さんは語ります。

「加害者はスナックなど2軒をはしごして酒を飲んだそうです。にもかかわらず、駐車場に停めてあった車に乗り込み、酒に酔っていることを承知の上でハンドルを握りました。そして、一方通行を逆走するという、常識では考えられない運転をしながら交差点を左折し、青信号の横断歩道を歩いていた母をはねたのです。本人は、『フロントガラスに雪が積もっていて、母だけでなく一緒に横断していた知人の姿も見えなかった』とも話していました。これが『過失』として処理される可能性があることに、強い憤りと疑問を感じています」

真寿美さんが青信号で横断中、加害車にはねられた横断歩道(遺族提供)

真寿美さんが青信号で横断中、加害車にはねられた横断歩道(遺族提供)

コインパーキングから酒気帯びの状態で車を走らせた加害者は、この表示を無視して左折し、現場交差点まで至る一方通行の道を逆走した(遺族提供)

コインパーキングから酒気帯びの状態で車を走らせた加害者は、この表示を無視して左折し、現場交差点まで至る一方通行の道を逆走した(遺族提供)

■12月28、29日は富山市内で街頭署名

 発生直後、山崎容疑者は「道交法違反(酒気帯び運転)」の疑いで富山中央署に現行犯逮捕されましたが、すぐに釈放。6月には「酒気帯び運転」と「自動車運転処罰法違反(過失運転致死)」の疑いで富山地検に書類送致されました。

 富山地検は現在、「過失運転致死罪」だけでなく「危険運転致死罪」も視野に入れて、さらなる補充捜査をしているといいます。

「飲酒したことを自覚しながら運転をするのは『不注意』ではありません。このような危険な行為を『過失運転致死罪(最高懲役7年)』で済ませてよいのでしょうか。わざと危険な運転をしているのですから、『危険運転致死罪(最高懲役20年)」で処罰すべきだと考えます。これはみなさまの周りでも、ある日突然起こりうる卑劣な犯罪です。母の無念を晴らすため、そして、今後同じような悲惨な事故が起きないよう、私たちは訴え続けます。どうかご署名いただき、お力をお貸しください」 

 兄妹は、飲酒運転による悪質な事故で苦しむ被害者遺族をこれ以上生まないためにも、検察に市民の声を届けたい考えています。

 発生からすでに9ケ月以上経過しています。富山地検の捜査に、多くの国民が期待を寄せています。

 また、明日(12月28日)から富山市内で2日間にわたって行われる街頭署名には、過去に飲酒や超高速による危険な運転で大切な家族を奪われた交通遺族らも駆け付け、支援活動が展開される予定です。お近くの方々だけでなく、インターネット及び用紙での署名にぜひご協力いただければ幸いです。

 年末年始はお酒を飲む機会が増える季節です。こうした悲惨な事故を絶対に起こさないためにも、飲酒事故の過酷な現実を直視し、それぞれの立場で心していただきたいと思います。

【富山・街頭署名活動のお知らせ】

■日程:2024年12月28日(土)、12月29日(日)

■時間:午前10時~午後2時まで(両日とも)

■場所:富山グランドプラザ(富山市総曲輪3-8-39)エコリンク入り口付近及び総曲輪通りアーケード内

■主な参加メンバー:

中田康介(被害者長男、東京都在住)

広瀬すみれ(被害者長女、海外在住)

髙橋正人(被害者支援弁護士)

井上保孝(東名高速道路事故遺族、ホーチミン在住)

佐々木多恵子(宇都宮市時速160キロ超死亡事故遺族、栃木県在住)

*その他/被害者・遺族の友人・知人等ボランティアスタッフ

●署名用紙はこちらからダウンロードできます。

●デジタル署名は以下で受け付けています。

オンライン署名 · 富山の飲酒逆走死亡事故。母の命を奪ったドライバーに危険運転致死罪の適用と厳罰を求めます! - 日本 · Change.orgChange.org

署名を呼びかけるチラシの表面(遺族提供)

署名を呼びかけるチラシの表面(遺族提供)

署名を呼びかけるチラシの裏面(遺族提供)

署名を呼びかけるチラシの裏面(遺族提供)