「ペダル付き原動機付自転車(モペット)」の危険走行、どう防ぐ?
2024.10.26(土)
「ペダル付き原付自転車」と「電動アシスト自転車」の違い、知っていますか?
最近、車輪の太い「ファットタイヤバイク」、ペダルをこいでいないのにかなりスピードを出している自転車を街中でよく見かけます。
こうした乗り物が歩道を走行したり、信号無視をしたりして、怖い思いをしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
とはいえ、一見しただけでは、それが「電動アシスト自転車」なのか、それとも「ペダル付き原付自転車」なのか、なかなか見分けがつきません。
実は、これらの2輪車には、以下のような違いがあります。
●電動アシスト自転車
・ペダルをこがないと走行しない
・時速24キロを超えるとモーターでのアシストが止まる
●ペダル付き原付自転車(モペット)
・ペダルをこいでいなくても走行する
・時速24キロ以上の速度でも電動アシストが働く
つまり、外見的には自転車と同じように見えても「ペダル付き原付自転車」は、道路交通法上「原動機付自転車」と同じ扱いになるため、運転する場合は原付以上の運転免許、ヘルメットの着用、自賠責保険への加入等が必要になります。
【ペダル付き原動機付自転車(モペット)とは?】
ペダル付き原動機付自転車(モペット)の自賠責保険・共済(*1) 国土交通省
運転する際にはもちろん道路交通法も遵守しなければなりません。
また、ナンバープレート、サイドミラー、方向指示器、スピードメーター、前照灯、後尾灯など、保安基準に適合した装備も不可欠です。
増加する危険走行、交通違反、交通事故
手軽な足となるペダル付き原付自転車(モペット)ですが、こちらの記事(*2)でも報じられているように、最近は交通ルールを守らない危険な走行が目につきます。
警察庁によれば、令和5年7月~12月にペダル付き原付自転車が交通違反や交通事故で検挙された件数は7130件。 そのうち、48%が「通行区分違反」、38%が「信号無視」、7%が「一時不停止」、2%が「歩行者妨害」でした。
【特定小型原動機付自転車に関連する交通違反・事故の発生状況】
(PDF)改正道路交通法の施行後における特定小型原動機付自転車等の状況等について
警視庁説明資料 2024年1月23日
また、無免許運転による人身事故、ひき逃げ事件のほか、2024年2月にはタクシーとの衝突で死亡事故も発生しています。
特徴的なのは、ペダル付き原付自転車の違反や事故は、その84%が東京都に集中しているということ。
ちなみに第2位の大阪は14%です。
都会では特に、ペダル付き原動機付自転車に絡んだトラブルに気をつける必要があるでしょう。
違法改造や保安基準無視で販売する業者も
ユーザーの中には、「ペダル付き原付自転車」でありながら「電動アシスト自転車」と偽って、無免許、ノーヘル、無保険で乗車している人もいるようです。
これはもちろん違反で、大変危険な行為です。
一方、「電動アシスト自転車」だと信じ込んで購入し、違法行為に気づかぬまま「ペダル付き原付自転車」に乗車しているケースもあるようです。
一例を挙げます。2023年1月、京都市内にある自転車販売会社の社長が、「不正競争防止法違反」(誤認惹起)の容疑で書類送検されました。(*3)
記事によると、この会社は中国から輸入した「ペダル付き原付バイク」を、「電動アシスト自転車」であると偽って宣伝。
10年間にわたり、1台約20万の価格をつけ、およそ300台販していました。
『ペダル付き原付バイクを巡って販売業者が摘発されるのは初めて』とのことです。
悪質業者にだまされたとはいえ、購入した人たちは結果的に法律違反をして走行していたことになり、当然罰則の対象となります。
すでに購入したものが「電動アシスト自転車」でなかった場合は、法律に基づいて速やかに「ペダル付き原付自転車」として登録する必要があります。
また、これから「電動アシスト自転車」の購入を考えている人は、その製品が本当にその基準に適合したものかどうかをしっかり見極め、詐欺的なキャッチコピーにだまされないよう気をつけてください。
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【国民生活センターからの注意の呼びかけ】
道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車に注意!
独立行政法人 国民生活センター
対策は進んでいるのか?
利便性やファッション性を求め、都会の若者たちの間で人気が高まっている「ペダル付き原付自転車」。
しかし、違反者による深刻な事故が増え、被害者も出ています。
事故が起こってからでは遅すぎます。
「命を守る」という観点で、みなさんはどのような対策を求めますか。
参考にした資料
(*1)ペダル付き原動機付自転車(モペット)の自賠責保険・共済|国土交通省
(*2)モペット違法走行急増 死亡事故も 警視庁が呼びかけ「電動アシスト自転車でない」(テレビ朝日ニュース、2024年9月24日) (*3)ペダル付きバイクを「電動アシスト自転車」と表示して販売、業者を書類送検…全国初(読売新聞オンライン、2023年1月16日)