リヤショックがちぎれ、ホイールも砕けたあの160km追突死亡事故、ついに訴因変更へ #専門家のまとめ
2024.10.11(金)
2024年10月10日、宇都宮地検は時速160キロで追突死亡事故を起こした石田颯汰被告(21)の起訴内容を、「過失運転致死」の罪から、より法定刑の重い「危険運転致死」に訴因を変更することを遺族に告げた。
事故発生から1年8か月、なぜこれほど時間がかかったのか、そして、遺族はどのような思いで検察に要望を届け、取り組んできたのか……。これまでの経緯を振り返りながら、本件をサポートした専門家の意見等を紹介する。
ココがポイント
出典:日テレNEWS 2024/10/10(木)
無謀な運転によって一方的に命を奪われる(中略)主人の気持ちを思うと本当に無念でなりません。私には車という武器を持って殺されたとしか思えないのです。
検察庁の自浄能力に期待したいと思います。ご遺族は検察官をたよりにしており、いくらご遺族が頑張っても検察官が頑張ってくれなければ、戦えないのですから。
遺族団体が「制御困難な高速度」を制限速度の2倍以上とするなど、危険運転致死傷罪の適用範囲を拡大・明確化するよう求める要望書を小泉法相に提出した。
エキスパートの補足・見解
筆者のもとにご遺族から初めてメールが届いたのは、2023年5月14日のことでした。事故発生から3か月、それまでショックのあまり家から出ることもできず、何の行動も起こせずにいたそうですが、加害者が3月7日に起訴され、4月に刑事裁判が始まって事故の真実が少しずつ明らかになるにつれ、『このまま黙っていてはいけないのではないか、この事故は危険運転で裁かれるべきではないのか』そう思うようになったそうです。つまり、このときすでに第2回公判期日は決まっており、まさに一刻の猶予も許されないという状況でした。
そんな中、ご遺族は危険運転事案に詳しい弁護士を新たに依頼し、地検に要望を繰り返し、他の遺族らと連携しながら必死で活動されてきたのです。あと1カ月取り組みが遅ければ、とっくに「過失運転致死罪」で判決が下されていた可能性が大でした。なぜ遺族がここまでしなければならないのか、いつも疑問を感じます。
とはいえ、訴因変更されたからといって必ず危険運転で判決が下されるわけではなく、過去には「危険運転」の訴因が追加されながら「過失」の判決が下された例もあります。今後の裁判に注目していきたいと思います。