幕末、米大統領に会い初めて「選挙」を知った侍たち
『開成をつくった男、佐野鼎』を辿る旅(第44回)
2020.9.17(木)
9月16日、菅義偉・第99代内閣総理大臣が誕生しました。
伊藤博文が初代の内閣総理大臣になったのは1885(明治18)年なので、日本に内閣制度ができてから135年の歳月が経過したことになるのですね。
選挙によって国会議員や総理大臣が選ばれることは、今の私たちにとっては当たり前のことですが、日本人が「選挙」という制度を初めて知り、現在のかたちが定着するまでに、どのような歴史があったのかご存じでしょうか。
日本で第一回目の衆議員議員総選挙が行われたのは1890(明治23)年、伊藤博文が初代総理大臣になってから5年後のことでした。しかし、当時は「国税を15円以上納めている、満25才以上の男性」にしか選挙権が与えられていませんでした。
「選挙管理委員会事務局」のサイトによれば、「明治時代の物価は、もりそばが1銭、牛乳(1本)が3銭。今の物価で計算すると、当時の15円は、現在の60~70万円ぐらいと思われます」とのこと。つまり、この条件を満たすのは、日本の全人口の1%程度にすぎず、実際にはごくわずかの上級国民しか投票できなかったのです。
こうした制度に対しては批判が出て当然でしょう。1925(大正14)年には納税制度が撤廃され、25才以上のすべての男性に選挙権が与えられます。
それから遅れること20年、1945(昭和20)年になってようやく、「満20才以上の男女」が選挙権を持つようになり、今に至っているのです。
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