幕末の裏面史で活躍、名も無き漂流民「音吉」の生涯
『開成をつくった男、佐野鼎』を辿る旅(第40回)
2020.7.9(水)柳原 三佳
*写真はイメージ。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、海外からなかなか日本に戻れなかった方、また、その逆の方も大勢おられたことでしょう。
最近になって各国がようやく制限を緩和しはじめ、7月3日からは日本航空が「成田-シンガポール線」の旅客定期便の運航を再開しました。しかし、羽田発着便については、7月中も全便運休が決まっているそうです。
国際線の完全復旧にはまだまだ時間がかかりそうですね。
さて、長い歴史の中には、感染症だけでなく、戦争、紛争、漂流など、さまざまな理由で外国に取り残され、遠い異国の地でひっそりと生きざるを得なかった人が少なくありませんでした。
『開成をつくった男、佐野鼎』(柳原三佳著、講談社)の中には、そんな数奇な運命を背負い、望郷の念を募らせながらも、シンガポールで49年の人生を終えたひとりの日本人が登場します。
ジョン・マシュー・オトソン・・・。
名前だけを見れば “異国人”ですが、本名は「山本音吉(おときち)」というれっきとした日本人です。
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(第40回)幕末の裏面史で活躍、名も無き漂流民「音吉」の生涯
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